四十肩・
五十肩

四十肩・五十肩の原因として、次のようなことが考えられます。

【四十肩・五十肩の原因】

●腕を酷使する作業

四十肩・五十肩は、腕を酷使する作業を続けている方に多くみられます。
配達業などで荷物を運ぶ方や、パソコンのタイピングで指先をよく動かす方などは、腕を支える肩関節に少しずつダメージが蓄積され、四十肩・五十肩を発症することがあります。

●肩をあまり動かさない生活

運動不足やデスクワークなどで肩をあまり動かさない生活を続けていると、肩関節の柔軟性が低下することや、背中まわりの筋力が低下したりします。
すると、普通ならなんともない負担であっても、肩関節のまわりにある筋肉や靱帯などが傷つきやすくなり、四十肩・五十肩につながることがあります。

●学生時代の肩の酷使

四十肩・五十肩は、これまで肩関節にどれだけ負担をかけていたかが影響していると考えられています。
そのため、学生時代に肩を酷使するようなスポーツをしていた方は、その影響がシニアになって現れはじめ、四十肩・五十肩の発症につながります。

●関節の変形

肩関節は、「軟骨」というやわらかい組織に覆われています。
加齢や肩に負担のかかる作業の繰り返しなどによって、肩関節の軟骨がすり減ってしまうと、肩関節を構成する骨が変形することがあります。
すると、硬い骨同士が直接触れあうようになって炎症が生じ、四十肩・五十肩の症状が出ると考えられています。

●筋力の低下

これまでどおり運動していても、年を重ねるにつれて少しずつ筋力は低下していきます。
筋力が低下しているのにも関わらず、肩に負担をかけつづけてしまうと、四十肩・五十肩が起こる場合があります。

●精神的なストレス

人間関係や仕事・家庭で精神的なストレスを感じていると、痛みを伝える神経の働きに悪影響が及び、四十肩・五十肩の痛みを強く感じやすくなるといわれています。

四十肩・五十肩は、次のような症状の経過をたどることが一般的です。

【急性期の症状】

四十肩・五十肩を発症して数週間から数か月程度は、次のような症状が現れることがあります。

●するどい痛み

四十肩・五十肩は、肩こりとは違い、突き刺すようなするどい痛みが特徴的だといわれます。
多くは、明確なきっかけがなく、突然痛み出す傾向にあります。

まれに肩関節の不快感や動かしにくさという前兆をともなうことがあります。
四十肩・五十肩を発症すると、肩を動かそうとすると激しい痛みに襲われるため、上着の着替えや洗濯物干し、洗顔など肩を動かす動作が困難になるといわれています。

●夜間痛

四十肩・五十肩の症状が強い時期は、「夜間痛」と呼ばれる症状が出ることがあります。
「夜間痛」とは、夜中に生じる痛みのことで、痛みでなかなか寝つけなかったり、寝つけたとしても痛みで目が覚めたりします。
寝ているときに、重力の影響によって肩関節に負担をかけていることが、夜間痛の原因だと考えられています。

 

【慢性期の症状】

四十肩・五十肩のするどい痛みが落ち着きはじめると、次のような症状をともなうことがあります。

●肩関節の拘縮（こうしゅく）

「拘縮」とは、肩関節を動かさない状態が続いたことで、肩関節が硬くなってしまった状態のことです。
肩関節の動きが制限されてしまい、腕を肩より高く上げられなくなることがあります。
また、肩関節を大きく回すような動きもむずかしくなるとされます。
慢性期に適切なケアを行えるかどうかによって、回復期に移行する時期が変わると考えられています。

 

【回復期の症状】

四十肩・五十肩を発症して数か月ほど経過すると、回復期に入ります。
回復期は、痛みや関節の可動域の制限などといった症状がしだいに落ち着きはじめ、普段どおりの生活を取り戻しつつある状態です。
回復期に肩関節を動かさないでいると、筋力が低下し、肩関節の可動域が元に戻らなくなることがあります。

四十肩・五十肩には、症状の経過にあわせて次のように対処しましょう。

【急性期の対処法】

痛みがつらい急性期は、次のように対処しましょう。

●アイシング

タオルでくるんだ保冷剤やビニール袋に入った氷水などで肩まわりをアイシングすることで、一時的に痛みが和らぐことがあります。
突き刺すような痛みがつらく、日常生活に支障が出ている場合は、アイシングを取り入れてみましょう。

1回の冷却時間は15分前後が目安です。
冷やしていると徐々に感覚が鈍くなり、やがて感覚が消失します。
15分経過していなくても、感覚が消失したら、アイシングを中止しましょう。

●三角巾による固定

急性期は、肩関節を少しでも動かすと強い痛みをともなうことがあります。
三角巾で肩関節を固定しておくと、痛みが出にくくなるといわれています。
寝るときは、痛みのある肩を上にして横向きになり、抱き枕やクッションなどを抱えるように寝ると、肩関節の負担が減り、眠りやすくなる効果が期待できます。

●物理療法

微弱電流や超音波の物理療法は、急性期でも行えるためおすすめです。
電気や超音波で患部を刺激することで、腫れの広がりを抑えることにつながります。

 

【慢性期の対処法】

筋肉の拘縮をともなう慢性期は、次のように対処しましょう。

●筋力トレーニング

慢性期も安静にしたままでいると、筋力が低下し、筋肉の拘縮が長引きやすくなるといわれています。
無理のない範囲で、少しずつ肩まわりの筋力トレーニングを取り入れましょう。

●ストレッチ

慢性期は、肩関節の拘縮で可動域が狭まる傾向にあります。
軽いストレッチで、肩関節の可動域を少しずつ広げましょう。

●温熱療法

慢性期は、温熱療法で患部を温めることがおすすめです。
患部の血行が良くなり、筋肉も動かしやすくなると考えられます。

●物理療法

慢性期も、腫れの広がりを抑えるために物理療法を継続しましょう。

●運動療法

慢性期は、できるだけ身体を動かすようにしましょう。
ウォーキングやヨガなどがおすすめです。

●姿勢の改善

姿勢が悪いと肩関節に負担がかかり、急性期に逆戻りすることがあります。
猫背のような悪い姿勢の方は、背筋を伸ばすことを意識しましょう。

四十肩・五十肩が心配な方は、日ごろから次のような予防法でセルフケアを続けましょう。

【四十肩・五十肩の予防法】

●運動の習慣化

運動不足が続くと、筋力が弱くなったり、関節の動きが悪くなったりして、四十肩・五十肩になる可能性があります。
四十肩・五十肩を予防するためには、運動によって筋力を維持することがおすすめです。
ウォーキングや肩まわりのストレッチなどを行う習慣を身につけましょう。

●同一姿勢の回避

長時間同じ姿勢を続けていると、肩関節に負担がかかり、四十肩・五十肩の発症につながります。
とくに、デスクワーカーの方は、長時間のタイピングなどによって、肩関節に負担がかかりやすい状態が続いています。

1時間に1回程度は休憩を挟むようにし、こまめに肩甲骨を動かすストレッチを取り入れましょう。
椅子に座ったままでも行える、肩をすくめる動作や肩回しなどがおすすめです。
ストレッチをするときは、肩関節を傷めないように、深呼吸をしながらゆっくりと行いましょう。

●入浴の習慣化

身体が冷えてしまうと、血行が悪くなり、四十肩・五十肩が起こりやすくなるといわれています。
日ごろから20分ほど肩までしっかりと湯船に浸かる習慣を持ち、身体を冷やさないようにしましょう。

●睡眠の確保

傷ついた組織や蓄積された疲労は、寝ている間に回復すると考えられています。
そのため、慢性的な睡眠不足に陥っていると、肩のダメージが回復しにくくなり、四十肩・五十肩の発症につながります。
四十肩・五十肩を予防したい方は、日ごろから十分な睡眠を確保することを心がけましょう。

●整骨院の訪問

整骨院では、ご自身で行える運動法のアドバイスを実施しています。
四十肩・五十肩を予防するために、どのような運動をするべきなのかわからない方や、不安な点がある方などは、整骨院を訪れ、身体に適した運動をレクチャーしてもらいましょう。

当院では、四十肩・五十肩はおもに動かしていなかったことにより起こると考えています。
何かを持ち上げたときに筋肉や腱を痛めてしまうということももちろんございます。

動かせないほどの痛みではない段階でも、痛いから動かさないというお話をよくうかがいます。
そうなってくると、肩関節周辺の組織自体が固くなってしまい、可動域の制限や強い痛みにつながります。

当院では次のような施術を行うことで状態改善を目指します。

・ハイボルト施術、超音波施術
肩関節周辺の組織を正常な状態に近づける効果が見込めます。

・肩甲骨はがし
他動運動を施す効果が見込めます。

また、患者様ご自身で行える運動のアドバイスも行います。